皇帝塩の歴史とあゆみ

1993年(平成5年)に、某製薬会社から最も優良な塩を選定し輸入してほしいとの調査委託を受けて世界中の天然塩の情報やサンプルを取り寄せるなど調査を行った結果、最も優良な塩と認められたのが現在の皇帝塩でした。製薬会社の思惑は、この塩から塩化ナトリウム以外のミネラル分だけを抽出して企画している薬品製剤の原料にしたいということで更に輸入の委託を受け、当時この塩田を管理していた中国人民解放軍と弊社との間で日本への独占輸入契約を締結し輸入を開始することとなりました。しばらく薬品開発の研究が続きましたが、残念ながら当時の技術では製薬会社の思惑通りに満足するだけのミネラル分抽出がかなわず、結局プロジェクトは中止となってしまいました。しかし、苦難の末の輸入契約だったことや、世界中の塩サンプルの中でとても優れた塩だったことからロイヤルアズ株式会社を設立しこのまま輸入を継続させ、独自に食用天然塩「皇帝塩」として販売を開始するに至り今日を迎えております。


<皇帝塩の歴史>

皇帝塩は、中国浙江省の舟山群島に属する島の塩田で作られています。舟山群島には大小1,339個の島嶼がありますが、皇帝塩の塩田がある島の地域は海流の関係で深層海水が自然に湧き上がることから、古くから良質な塩の産地となっており、更に特別な製法を駆使することで皇帝にまで献上される様になりました。

因みに舟山群島の島の一つに「普陀山」があります。ここは中国4大聖地(4大仏教名山)の一つで観音菩薩が祀られる唯一の海上聖地で「海天佛国」とも謳われ、中国では日本の伊勢神宮の様な扱いで最も神聖な土地とされています。また、この観音菩薩が祀られている「普陀山 普済禅寺」の開祖は なんと「恵萼(えがく)」という日本の僧侶なのです。このような神聖な地の塩を日本で取り扱わせて頂くことに不思議なご縁と力を感じながら続けさせて頂いております。

そもそも舟山群島一帯は、中国国民党の孫文の後継指導者であった蒋介石(しょうかいせき/内戦で中国共産党に敗れ台湾に敗走。現在の台湾の祖)の一族が先祖代々所有していた地で、一説ではこの地域で作られた塩を換金して蒋介石率いる中国国民党の軍費にあてられたと伝わっています。

由緒ある蒋介石祖先一族により歴代皇帝に献上されていたこの特殊な塩田は、中国国民党が中国共産党に破れ台湾へ敗走した後に、中国人民解放軍が接収し直轄管理としました。そしてここの塩だけは非売品として共産党幹部などを表彰するときの副品としてや特別な賄いの時などに使われてきました。これには理由があり、蒋介石は神聖な塩をお金に換え軍資金としたことが敗走した一因だとし、従い共産党は軍資金にはしないという意思の表れだと現地高官から当時聞かされています。

皇帝塩の輸入開始当時は、皇帝塩が製塩される塩田一帯は人民解放軍が管理しているため厳重に柵で囲われ、門番として軍の兵士が堅守していました。現在は所管が変わり人民解放軍から浙江省へと移され物々しさは一切ないごく普通の塩田風景となってはいますが依然、周辺の民間塩田とは扱いに一線を画しています。常に政府関係機関の特別管理だったことが、古代から受け継がれてきた特殊な塩田と製法をそのままに保存し続けてこられたのだと思っています。

また、輸入開始に当たりこの特殊塩田は中国人民解放軍管轄であり買い付け窓口も人民解放軍となります。当然とも言えますが軍という立場に売買という概念は全く無くましてや輸出など考えすら持ちあわせていなかったので様々な規制や問題が絡み日本に正規輸入するまでには幾多の困難がありました。しかしその難題をコツコツと解決させたことで、この地の塩について日本ではロイヤルアズのみが扱えるという許可を頂け現在も継続出来ています。所管が変わりまた担当する局長も経年で交代となっていく中、現在まで代々の局長の申し送りでこの塩田で作られる塩は弊社のみの取り扱いとなっています。

以前、類似品の販売を画策し皇帝塩と同じ塩田からの買い付けを試みた会社がありましたが、当然ですが買い付けすることは出来ず、しかたなく比較的近隣の民間塩田から輸入を試みた会社がありました。しかし、地域としては近隣でも、塩田に引き込む海水の質や皇帝塩の古式製法と異なっているためか解りませんが成分比率も全く異なり、味も異なる塩でした。当然のこと、ロイヤルアズ所有の皇帝塩の商標を使うことも出来ませんので結局撤退してしまいました。

このように皇帝塩と全く同じものを他社が扱うことは不可能です。塩田の成り立ちや由縁を皇帝塩と似通った説明をして、あたかも同等品としている製品が見受けられますが全く異なるものと断言いたします。


皇帝塩存続の危機を乗り越えて

●2012年、尖閣諸島問題の顕在化
長年に渡り友好関係と安定輸入を継続しておりましたが、2012年に日本が尖閣諸島を国有化したことから日中関係が悪化したことを受けて、国有塩田で作られる皇帝塩の日本輸出の停止が検討されました。
しかし弊社の長年の実績を鑑み、統括して頂いていた高官の方々のご尽力によって何とか回避することが出来ました。 

余談ではありますが、このころ弊社では北京大学で研究開発し特許を取得していた世界でも類をみないキノコから抽出して作られた腫瘍に大きな効果をもたらす健康食品原料を独占輸入していました。しかし、こちらは残念ながらこの影響により輸入取引が完全に遮断されてしまい現在も復活出来ていません。

●2014年、農地改革の余波
ことの始まりは突然のことでした。2014年に習近平主席の方針によって、中国で国内流通する食塩は全てイオン交換膜精製塩(日本で一般的に流通する食塩と同じ)に切り替えることとなり、天日塩田は全て農地に転換することにより慢性的な食糧不足に備えるよう通達が出されました。当然、舟山群島一帯の塩田もこれにより農地改革が進み始めました。現地担当者からは、「皇帝塩の塩田は政府機関直轄管理地なので執行順序としては一番最後にはなるが、いずれは農地に換えなければならない時期が来るかもしれない」と通告されました。

しかし幸いにも、2017年に一定の成果をみたということで農地改革の終焉宣言がなされました。順番としては最後だった皇帝塩の塩田はこれにより難を逃れることが出来ました。

輸入当初の窓口が人民解放軍で取り扱いはデリケートで幾多の困難や問題勃発があり、何とか乗り越えてきた後に近年の突然勃発した尖閣問題や農地改革騒ぎと続いてきておりますが、おかげさまで何とかこれらを乗り越え現在も滞りなく輸入販売が継続出来ております。しかしこのようなことはいつまた再燃するか解りませんので戦々恐々ではあります。

皇帝塩は、唯一ロイヤルアズのみが独占輸入している特殊な完全天日塩です。